廃れるか、再起するのか。浜松市の卸本町を歩く

浜松市

JR浜松駅からおおよそまっすぐ南下し、海沿いに走る国道一号線の北側に卸本町という町があります。

地図で見ると、比較的きれいに区画されているのが分かります。

この町の成り立ちを引用します。

繊維を中心とする卸商の事業者が、昭和40年代の高度経済成長による交通事情の悪化及び手狭となった市中心市街地の問屋街から郊外への集団移転を考え…

昭和46年7月1日に「浜松卸商団地」が完成。国道1号バイパスに面し、平成2年には国道南側に拡張し、約19.5haの面積を要する団地…

(引用元/http://www.arura.jp/about.php

浜松を中心とした遠州地方は、元々繊維業の盛んな地域で、1970年代ごろまで「ガチャマン」と呼ばれた好景気など地域を支える主たる産業でしたが、1980年ごろから急速に冷え込み、現在はかなり縮小しています。
好景気に沸いた時代に浜松市街地では手狭になったため、土地を広く活用でき、国道にも近い場所「卸本町」に移転したということでしょう。

私が卸本町に初めて訪れたのは、15年ほど前だったと記憶しています。

当時勤めていた会社の顧客が、卸本町に事務所を構えており、数度打ち合わせに訪問していました。
その時から、「錆びれた街だな」という印象を持っていたことはぬぐえません。

最近、浜松市南区で打ち合わせがあり訪問した際に、少し時間が空いたので、最近の卸本町がどのようになっているのか、散歩してきました。

中心施設

卸本町の中心地は「アルラ」という愛称の浜松卸商センターの建物です。
貸会議室やレンタル倉庫などの設備があるようです。

▼浜松卸商センターWebサイト

協同組合 浜松卸商センター - 浜松市南区の卸商団地。全国産品を地域へ、地域産品を全国へ。
浜松市南区の卸商団地。全国産品を地域へ、地域産品を全国へ。豊かな産業と生活、そして地域ブランド【浜松スタイル】を提案致します。研修施設、貸会議室は大駐車場完備、宿泊施設隣接。TEL.053-441-0851

アルラ外観

アルラの外観ですが、コンクリートの特徴的な建物です。

恐らく、繊維関係の何かだと思うのですが、何をモチーフにしたのか、考えたのか分かりませんでした。

はましんとビジネスホテル

アルラの西側に、地元の信用金庫はましんの支店とビジネスホテルのほんまちがあります。
ビジネスホテルは、3,900円~素泊まりできるようです。

ほんまち入り口

ホテルのカウンターは3Fです。
全体的にはやはり、施設の古さを感じます。

このアルラ、はましん、ホテル周辺が中心地で、その周辺をぐるっとお店や企業が並んでいます。

北側エリア

全体的に人はまばら

北側のエリアに限ったことではないのですが、全体的に人は疎らです。
基本的に建物は建築当初(1970年代初期ごろ)を受け継いでいるようで、やはり古いです。

基本的には、繊維関係の企業や店舗が8割ほどの印象ですが、中には新しくオープンした飲食店も入っています。

GS BURGER

2016年にオープンしたGS BURGERさん。
アメリカンなハンバーガー店です。
こういったレトロな雰囲気は外観や建物の設えに合っていますね。

新しく改装してショールーム化している店舗もあります。
どちらかというと法人向けでしょうか。

昔ながらの個人向けの繊維関連のお店のもちろんあります。

南側エリア

MOTO SERVICE EDGE

南側のエリアには、オートバイ関連のショップも営業されています。
比較的近年オープンされたような印象です。

ただ、中心部から離れていくと、段々とシャッター街・廃墟化していきます。

平日昼間だがシャッターが降りている

平日昼間ですが、通りはシャッターが下りたままの状態です。

完全に営業を停止し、朽ちるままの建物も点在しています。

今後

多くの町が往年に賑わいや活力が再興し、魅力的な町に再びなっていけることが理想です。

浜松市は「卸本町地区計画」として、町の再生や活性化に取り組んでいます。

浜松市内の地区計画区域とその内容について

取り組みの理想は素晴らしいですが、いらぬ期待を住民や事業者に持たせることも残酷かなとも思ってしまいます。
浜松市に限りませんが、静岡県内は海沿いの地域は震災の影響もあり、地価の下落や人口減少傾向が続いています。

個人的には、全国的な人口減少の中、再生が難しい地域は適正な規模まで縮小するべきだと思います。
そこで暮らし、事業を営む方にとっては苦しい決断であることは重々承知していますが、少子高齢化や自治体の限られた予算の中でどこかは縮小なければいけません。

人も街も変化していきます。

次の世代の為にも、私たち世代は苦い思いを背負う覚悟も必要だと町を散歩しながら感じました。

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