静岡市での保護犬探しからトライアルまで

保護犬

ユヴァル・ノア・ハラリ著のサピエンス全史。
世界的にベストセラーになった本ですが、とても面白く、興味深く通読しました。

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そのサピエンス全史の中で、人にとって最初の家畜は「犬」で、約1万5千年前から相互に依存する関係を築いていたという記述があります。
確かに人にとって犬は少し特別な存在ですね。

犬を飼いたい

「犬を飼いたい。」
そういえば、小学生の頃に親に犬を飼いたいと言いたくて、でも、うちには庭もないしなあ。と思って言えなかった記憶が蘇ってきました。そのころ実家では商売をしていたのも言えなかった理由の一つでもあります。

大人になった今、責任を自分でとればなんとでもなります。
少し調べてみると、私が子供の頃の犬の飼育の常識とは異なり、現在の多くは室内で飼う家犬が主流となり、玄関に犬小屋置いて、鉄製の鎖で繋ぎ、来客があるとガウガウ吠えるというノスタルジックなスタイルはほとんど見られません。
やはり、犬が健康的に寿命を全うするには、室内である程度管理して育てる方が長生きするという事実に基づいているようです。

飼うとなると、犬はどうするのか。
もらってくるのか、買ってくるのか。

ある程度健康であれば、犬種や性別、年齢も問わずで探してみることにしました。探していくうちに、やはり目につく保護犬。
なんらかの理由で、迷子になったり、遺棄されてしまった犬を保健所が一時的に預かったり、県内に多数ある保護団体が里親を探しています。

家族でも話し合い、ペットショップで犬を購入せず、保護された犬を我が家で預かり、終生飼養する。
この方針で静岡市で保護犬探しが昨年末スタートしました。

保護犬はどこにいる

静岡市動物指導センター

静岡市には「成犬譲渡制度」という、迷子や飼育放棄などで保護された成犬を譲渡いただける制度があります。
私たちもまずはこちらに登録に伺いました。

成犬譲渡制度~行き場のない犬たちの新しい飼い主になりませんか?~:静岡市
成犬譲渡制度~行き場のない犬たちの新しい飼い主になりませんか?~

静岡市動物指導センターは藁科川沿いにあり、動物愛護館やペットの火葬場に併設された施設です。
場所も分かりにくく、建物もどれ?という感じですが最も北側にある建物が動物指導センターです。

受付で成犬譲渡の申込書に記入します。
ちなみにオンラインや郵送では申込できません。
これは、意図的に来所を促し、しっかりと説明、同意の上に申し込んで欲しいということだと思われます。これは理にかなった方法だと思います。
スタッフさんに説明を頂きながら、かなり詳細な申込書に記入します。
希望する犬の条件なども聞かれます。フィラリアの陰性/陽性の受入可否もチェックがありましたが、フィラリアって何?状態でしたので質問したところ、獣医さんのような方に丁寧にご説明いただきました。

幸いなことに、成犬譲渡制度の申込者は近年増加されているようで、条件にあった犬を紹介いただけるのは半年から1年はかかるとお聞きして申込を済ませました。

気長に待つことができるご家庭は、この制度が最も最適だと思います。

保護団体

成犬譲渡制度と並行して、地域の保護団体からの譲渡を検討しました。
インターネットで調べると、驚くほど多くの団体が保護活動をされています。一般社団法人やNPO法人もありますが、自発的に活動される小さなグループまで多数活動されています。

その中から、いくつかお声がけさせていただき、実際に譲渡会やお見合いといった機会に参加いたしました。
保護団体からの譲渡は大まかに以下の流れで行われます。

1.譲渡会・お見合いへの参加申込
2.譲渡会・お見合いへの参加
3.トライアル希望申込(免許証などでの身分確認・保護団体からの詳細な説明あり)
4.トライアル開始(1~2週間程度)
5.正式譲渡またはキャンセル

正式譲渡の際には、団体によって金額は異なりますが、保護されてから要した医療費の負担があります。
犬によって異なりますが、おおよそ30,000円~が多いようです。
正式譲渡の際には、誓約書への記入や飼育環境(自宅)の確認もあります。

保護団体にとって、保護し譲渡した犬がまた保護犬になったり、最悪虐待されたりといったことは絶対に避けたいため、家族構成や飼育環境、家族の同意など念入りに相互の意思の疎通を行います。

私自身が調べて伺ったり、ご紹介いただいた団体をご紹介します。

その小さないのち守りたいプロジェクトさん

【公式HP】静岡 その小さないのち守りたいプロジェクト
その小さないのち守りたいプロジェクトは静岡市に拠点を置き保健所などから犬猫を保護して新しい家族の元へいのちを繋いでいく活動をしています

静岡県中東部で活動するNPO法人。定期的に譲渡会を開催されており、十数頭の犬と面会できます。
成犬もいますが、どちらかというとミックスの子犬が多い印象です。
スタッフ様の対応も素晴らしく、犬の側に立って譲渡を行っていますので安心です。

犬部わんわんお助け隊さん

犬部わんわんお助け隊
犬部わんわんお助け隊さんのブログです。最近の記事は「ご寄付をいただきました(画像あり)」です。

静岡県東部で活動されており、成犬の保護が多いようです。
LINEで精力的に情報を提供されているので、Line公式アカウントをフォローされると情報が届きます。

NPOしずおかセラピードッグサポートクラブさん

NPOしずおかセラピードッグサポートクラブ
静岡県沼津市を中心にセラピードッグの普及と捨て犬、殺処分ゼロを目指して「皆で楽しく」をモットーに活動中です。

沼津市でセラピードッグの普及と里親募集をされているNPO団体です。

ワンワン♪ふぁみりーさん

静岡県西部(御前崎・磐田)で主に活動されている保護犬達の里親さん探しグループです。

里親さん募集 ワンワン♪ふぁみりー
静岡県西部地区で、訳あって行き先の無くなった保護犬達の里親さん探しのお手伝いをしている預かりグループです。                ❤ 一日でもはやく、新しいご家族に出会えるように、預かり宅で人の優しさに触れ、笑顔になって再出発の準備をします♪              ❤ 温かい手とたっぷりの愛情に包まれた家庭...

月に1回程度、譲渡会を行っていますが、コロナ禍の影響で不定期開催のようです。
ブログに里親募集の犬が掲載されており、個別に面会(お見合い)もセッティングいただけます。
私は、ワンワン♪ふぁみりーさんにご縁をいただいて、ミックスの雌をトライアルさせていただきました。

インターネット経由

「犬 里親募集」などで検索すると個人間や団体経由で、里親を紹介するWebサイトがいくつか見つかります。
情報も多く、非常に手軽な反面、個人的にはあまりおススメいたしません。
ブリーダーさんの「繁殖リタイヤで里親募集」など疑問符が付く考え方があったり、無計画に飼育を始めて飼いきれずに別の方へ譲渡といった内容も見られます。
きちんとした譲渡もあるかと思いますが、やはり生き物を扱う以上は、地域の自治体や団体とお話をすすめたほうが、負の連鎖を断ち切るためにもベターだと感じました。

保護犬探しの難しさ

実際に保護犬を探している中で感じた難しさがいくつかあります。

成犬時の大きさが分からない

犬種がはっきりしている犬であれば、子犬の段階で成犬時のサイズ(体高や体重)がおおよそ想像がつきます。
保護犬は、基本的にどのような親に生れた子か分からないことが多いです。(犬種がはっきりしている犬もいます)
そのため、ミックス(雑種)として里親募集をしている子犬は、成犬時に10kgなのか20kgなのかそれ以上なのか、育ってみないと明確には分からないというのが実情です。
飼育環境に制限がない広い庭があるご家庭は、それなりに大きく育っても問題ありませんが、我が家のように庭がほとんど無く、室内犬として育てる場合は、やはりあまり大きくなると犬にとっても不幸かなと思ってしまいます。
飼育に関する考え方はそれぞれですが、我が家ではあまり大きな犬は控え、12kg以下程度を一つの条件としていました。
必然、成犬を探すことになります。

病歴が分からない

当然、保護犬がどのような病歴を持っているか、いないかも分かりません。
保護センターや保護団体では、保護された後に獣医さんの診断を受け、フィラリアの陰性/陽性検査、必要に応じて予防接種や避妊手術を行います。
現在の状況はある程度分かりますが、以前どうであったかまでは分かりません。
そのため、譲渡後に大きな病気にかかる可能性もあります。
ただ、これは保護犬に限らず病気のリスクはありますので、保険に入るや予防をしっかり行う、獣医と相談するなど対応はあるかと思います。

川上で防ぐか川下で防ぐか

それぞれの団体で保護される犬は、飼い主と死別した等どうしようもない理由もありますが、迷子犬(鑑札なし)、意図的な遺棄、多頭飼による飼育崩壊、虐待からの保護などいたたまれない理由もあります。
保護犬の譲渡・里親は、どちらかというと問題の川下の対策であり、問題の川上(根元)の対策の必要を感じます。

犬には鑑札呼ばれる番号が記載された小さな金属製の札があり、それを首輪などに付けておく義務があります。もし、迷子になった場合などはその情報から飼い主を割り出すことができる仕組みです。

迷子になる犬は恐らく意図的に鑑札が外されて、遺棄されます。そうすると、飼い主を追跡する方法がないようです。

静岡市の動物指導センターのスタッフさんにお聞きしたのですが、近いうちにマイクロチップの埋め込みが義務化されるようです。
これは、簡単に外せない鑑札を埋め込むことで、安易な遺棄、ひいては安易な飼育を防ぐ一定の効果を期待しての義務化だと思います。
少しずつでも、不幸な犬が生れる負の連鎖が断ち切られればと願っています。

トライアル

ワンワンふぁみりーさんにご縁をいただき、体重7.5kg、推定年齢6~7歳、柴っぽいミックス、雌、磐田の山に捨てられていた犬をトライアルで引き取りました。保護団体さんの所見ではブリーダーの繁殖リタイヤの後、捨てられたのでは…とのことです。
1週間ほどお預かりし、階段を登れない、トイレはできない、お座り・お手もできないなど、わがままなシニア犬ですが、人懐っこい性格で、食事もよく食べ、お散歩も好きで徐々に馴染んできています。

犬のいる生活

階段は降りません。
階段は非対応だそうです。

親類に犬好きが多いため、それなりに飼育の大変さは理解しているつもりですが、寒さに強い2歳から3歳くらいの子供が増えたような印象です。
トイレ・食事・散歩・ブラッシング・遊びの繰り返しですが、少しずつ我が家にも慣れ、緊張した面持ちの当初からわがままさを発揮しだし、いい意味でお互いに遠慮の少ない近い関係を築いているように感じています。

柴系の犬は寿命が15歳ほどのようです。

推定6~7歳であと9年から8年ほどの余生です。
少し前半はつらい時期もあったかもしれませんが、後半は人の愛情に触れ、家族としての信頼関係を築き、「まあ、中川家に来てよかったよ」と思ってもらえるように、楽しみながら共に暮らしたいと思っています。

犬の飼育をお考えの方、ペットを購入する以外の選択肢も増やしていただけたら幸いです。

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